今や地方・都市部に限らず検索利用されるGoogleマップ。出張先や旅行先での飲食店の検索では、まず最初に使うのではないでしょうか。
特に観光地ではその傾向が顕著だと感じていて、某観光拠点にてWEB集客を担当していたころは、Googleマップからのアクセス数は、Google単体でのアクセス数に比べて30倍ほどの差がありました。(Googleの検索結果からのアクセスが月に1,000件だとしたら、Googleマップからのアクセスは月に30,000件ほど)
今回、Googleマップからのアクセス増加について相談されたため、マップ集客の改善に必要な活動について整理してみます。
Googleマップからの集客を増やす2つの要素
Googleマップからのアクセス&集客を増やすには、主に以下の2つの視点から考えます。
1.お客様の利便性の向上
2.評価(レビュー)の向上
どちらも、自身が利用する立場で考えてみるとシンプルなことではあるのですが、それぞれ具体的に説明しますね。
1.お客様の利便性を高める
Googleマップ利用者は、検索した後に「行くか/行かないか」「候補に入れるか/入れないか」を判断します。
その判断の際に重要になるのは『店舗の情報を正確に伝えられているか?』です。
では、情報を正確に伝えるために何が出来るのか?
私は以下の2つの方法をお勧めします。
①Googleビジネスプロフィールの設定
検索結果に表示されたものの、「何があるのか、何のお店か分からない」「商品やサービスの品質が分からない」「行く時に開いてるか分からない」など、不明な要素が多すぎると、まず行く候補にすら入りません。
また、Googleとしても不明点が多いお店は利用者にとって不利益に繋がるため、上位に表示しません。
そのため、まずはGoogleマップで検索された時に、利用者が最低限知りたいと思う情報くらいは表示するために『Googleビジネスプロフィール』の設定をしましょう。
最低限必要な項目は「利用者が知りたいこと」です。具体的には
・店名(Googleでは「ビジネス名」)
・お店のジャンル(Googleでは「ビジネスカテゴリ」)
・お店の説明(Googleでは「説明」)
・メニュー(飲食店のみ)
・店舗の外観/内観や商品、サービスの写真
・連絡先(電話番号/カスタムメールアドレスの取得/予約フォーム等)
・所在地とエリア
・営業時間と定休日(祝日などの「特別営業日/時間」も忘れずに)
など。
後からの変更も可能ですから、上記7つ(飲食店は「メニュー」含む8つ)は必ず設定しましょう。
そのお店がどこにあり、行くことで何が得られて、どのようになれるのか?何がお勧めなのか?いつ行けば良いのか?などが分かり、写真で商品やサービスのイメージが出来れば、最低限の設定としては十分です。まずはここから。
②ソーシャルプロフィールの設定
また、上記①に追加して「店舗の雰囲気」や「最新の情報」をお伝えする手段として『ソーシャルプロフィール』の設定をお勧めします。設定することで各種SNSへの連携が可能です。
便利なのは写真や動画でイメージを伝えやすいInstagramですが、どのSNSを選ぶかは業種や業態、お客様の層、SNSの運用目的によって変わりますので、一概には言えません。(個別にご相談下さい)
なお、「最新の情報」を伝えるという意味では、Googleのビジネスプロフィールにも「最新情報を追加」という項目から設定が可能ですが、あくまで “情報を伝えるだけの項目” となりますので、『お客様との日常の交流を通じてファン化を図る』という目的がある場合は、各種SNSとの連携を勧めます。
2.評価(レビュー)を高める
Googleマップ利用者の利便性を高めるための設定が出来たら、次はGoogle上の評価を上げましょう。
Googleでは☆5段階で評価が付けられますが、経験上、「検索結果の上位表示」や「実際の集客力の向上」を目指すのであれば、☆4.2を一つ目の目標として設定することを勧めます。
※地域によって周辺の競合店舗の評価基準が異なるため、実際の目標値は個別にご相談下さい。
☆4.2を目指す
この数値はあくまで私個人の調査と分析結果によるもので、客観的なデータなどを示すことができないのが申し訳ないのですが、中堅都市部(20万人~40万人規模)の複数の業種の店舗(BtoC事業者ただし不動産業界は除く)において現地調査(聞き込みあり)とGoogle評価の調査を行ったところ、☆4以下は「実際の集客効果にあまり目立った効果は無く」、☆4.1から「実際の集客が増加し始め」、☆4.2から「集客が大きく増加」、☆4.3からは「☆4.2以下よりも顧客満足度の高いコメントの割合が増え、新規集客が自動化する」という結果が出ました。
特に、4.1と4.2、4.2と4.3はかなり大きな差があると感じており、☆4.3以上を保てていれば自然と新規のお客様が来店し続けるお店が多い印象です。
※ただし、☆4.3以上は商品/サービスの品質、価格、アクセス、待ち時間、その他オプション、企画力、体験的な要素(オーナーや顧客同士のコミュニケーション等)などの複数の項目がとても高い水準で成立しているからこその結果であり、達成するには時間もかかると感じました。
そのため、私としては集客が大きく増加する☆4.2を目指すことをお勧めします。
では、それらはどのように達成するのか?
これは企業や事業者として “当たり前のこと” を積み重ねるしかありません。
すなわち、商品やサービスの品質を高め、柔軟な販売・提供・決済方法に対応し、レビューに対してコメントやお礼を返し、質問があれば回答し、悪い評価があれば改善のヒントとして(可能な限り)取り入れ改善するということです。
一人ひとりのお客様を大切にし、人間的なやり取りを通して、満足いただく。
当たり前の事しか、ありません。
そのために何が必要かというと、意外かも知れませんが『店舗内部の体制強化』です。
小規模事業者ほど、内部の体制を整えることを優先する
本記事は、主に『MEO対策によってGoogleマップからの集客を強化したい』という方が、読まれているかと思います。
私が得意とするSEO対策やMEO対策は、一般には”外部”に向けたプロモーション施策とされます。
しかし、ことGoogleマップからの集客の増加に関しては、じつは”外部”よりも”内部”に向けた施策を行う方が、長期的に見て集客効果が高くなることが多いのです。
特に、現在の評価が☆4以下の店舗や、規模の小さい小規模事業者ほど、それは顕著です。
しっかりした「柱」があるから、「店舗」が立っていられる
私は中小企業診断士ですので、その仕事柄、企業様や事業者様を「人事・組織」「経営・事業戦略」「加工・生産」「財務会計」の4つの視点から分析、それぞれを連携させての助言を行います。
『事業はマーケティングやプロモーションが一番重要』とイメージされる方も多いかと思いますが、それはビジネスモデルと立地によります。周辺人口が100万人を超える都市部や毎年多くの観光客が訪れる観光地など、新規顧客がどんどん入ってくるような地域であれば、マーケティングによる差別化や、プロモーションによる露出強化はとても重要です。
しかし、地域人口が20万人ほどで多くの新規増加が望めない地域では、外部に向けた活動よりも、事業を支えるための「組織体制の構築や人材の確保」「サービスや商品の品質を担保できる生産・供給技術の習得」「事業を回しつつ投資できるだけの資金力の確保」という3つの柱の構築の方が、事業継続においては重要だったりします。
ここで勘違いしないでほしいのですが、私が伝えたいのは『マーケティングやプロモーションを蔑ろにしろ』という意味ではなく、『先に内部を整えてから外部のことに手を伸ばしましょう』という意味です。
先に内部活動(商品・サービスの品質の確保など)を整え、次にマーケティングやプロモーションなどの外部活動に力を入れ、その反省を活かして内部活動を改善する、という順番です。
なぜなら、小中規模事業者は人も資金も限りがあり、マーケティングやプロモーションによる事業規模の拡大によって商品やサービスの品質の低下が起こりやすいためです。品質が低下すると、今までお店の売上を支えてくれた固定客の皆様が離れる確率が高くなり、売上の低下→資金繰りの悪化→原価と人件費削減による品質の低下→さらなる売り上げの低下→…、という悪循環が始まってしまいます。
内部の満足度を高めることが、回りまわってお客様の満足度を高める
一方で、明確な目標を掲げた上での「教育・研修体制の整備」や「評価制度の改善と人の育成」「新規メニューの開発」などの内部の改善を行うことは、商品やサービスの品質を向上し、従業員のモチベーションを高め、お客様の満足度を高めることに繋がります。
特に店舗型の事業は労働集約型である場合が多いため、直接お客様と触れ合う「従業員の質」がとても重要になってきます。いくらマーケティングで良い印象を持ってもらい、プロモーションで来店いただいても、実際のサービスの品質が悪ければ、高評価レビューや二度目の来店には繋がりませんから。
そのため、Googleマップの評価を高めて集客力を強化するには、MEO対策などの外部に向けた施策だけでなく、内部体制の強化も強くお勧めしています。
まとめ+中小企業診断士の活用法
以上、Googleマップからの集客を増やす方法についてまとめました。
Googleマップからのアクセス&集客を増やすには、
1.お客様の利便性の向上
2.評価(レビュー)の向上
の2つの視点から考え、
お客様の利便性の向上には『Googleビジネスプロフィール』と『ソーシャルプロフィール』の設定が、評価のレビュー向上には、☆4.2を目指しての内部体制の強化が有効です。
とはいえ、事業戦略に沿った組織体制や人事評価の考案、研修制度の導入などを考えるのは、忙しい事業者の皆様では大変かと思います。
そこで役立つのが、私たちのような中小企業診断士です。
マーケティングやプロモーションはもちろん、市場調査を通しての商品開発、事業を成長させる組織の構築や採用・教育方針の策定、それらを実現するための財務的な助言など、経営に関する網羅的な支援が可能です。
なかなか便利な立場ですので、困ったときはご相談下さい。
事業者様の想いや、現在置かれている状況、今後どのようにしたいか?等をお聞かせいただいた上で、お一人ずつに合った方向性を提案させていただきます。