こんにちは。となりのコンサルティングの中村です。
2026年も1月が終わろうとしています。今月の支援報告を整理してみたところ、合計で30事業者の支援をさせていただきました。
その中には、昨年の年始頃から補助金の申請支援をしていて、ようやく実績報告まで完了し、補助金の請求に至った方もおられます。1年は、本当に長かった。
いずれも能登半島地震からの復旧・復興に向けた補助金のため、申請内容も認められやすいのですが、先に自己資金や融資による自己負担が必要なわけで。その負担は決して小さくありませんので、ようやく落着して一安心です。
さて、今回はそんな能登半島地震からの復旧支援施策の一つである、なりわい再建支援補助金の『新分野事業』について、注意点や申請のコツなどを書いてみたいと思います。
なりわい再建支援補助金の『新分野事業』とは?
昨年後半から、能登半島地震からの単純な復旧(施設や設備の修繕・入替・建替え)の申請は減少傾向にあるのですが、それに替わって増加傾向にあるのが、少し複雑な「原状回復と異なる復旧」と「新分野事業への進出による復旧」です。
簡単に表現すると『元の状態に戻すだけでは事業の復旧に繋がらないので、しっかり復旧・復興に繋げていけるように違う状態に戻したい』ということですね。
新分野事業の申請は難しい?
「新分野事業」による復旧は、既存の事業そのものを取り止めて、新しい事業を始める形で復旧・復興を目指したいという方に人気です。
新分野を選ぶ理由としては、例えば地域密着型の事業をされていた方(例:美容室など)が、『被災により既存のお客様が避難して居なくなり、市場が無くなったor縮小したことで事業が続けられない』というものが多いです。
『市場が無くなったor縮小したため事業が継続できない』→『だから新しい事業で復旧を目指したい』という言い分は、個人的には理に適った話だと思います。
そのため、私としては現実的な復旧施策であれば積極的に支援しているのですが、その一方で『申請を出しても国の審査が通らない(または通りにくい)』という話も聞かれます。
私も個人的に電話がかかってきて、『新分野事業の申請を相談したけど、窓口で難しいと言われた‥本当にダメなんですか?』という相談を受けたことがあります。後日詳しくお話を伺ってみたところ、「確かにその内容では難しいかも‥」と感じたため、県の担当者が納得するような計画の策定支援をさせていただきました。
確かに、新分野事業による申請は、通常申請に比べれば少し難易度が高いです。しかし、実際に支援している中で感じるのは、復旧・復興までの道筋や進出理由が明確で、実現可能性が高い計画であれば、新分野事業の申請は難しくないということです。
新分野事業の申請で重要になるのは「売上高」
新分野事業の申請にあたって、最も重要視されるのは「売上高」です。
申請を出した後も、この点について特に確認されることが多いため、事業計画を作る際は『売上高を確保する計画になっているか?』『その実現可能性は高そうか?』という点がキモになってきます。
ちなみに、売上高にこだわる理由は明確になっていないようなのですが、個人的には「補助金の投資経済効果が分かりやすいから」ではないか?と思っています。
補助金は国の視点で見た場合、投資にあたります。その原資は税金ですので、いくら復旧・復興と言えども無尽蔵に税金を投入するわけにはいかず、その市場に税金を投入して、どのくらいの経済効果があるか?(最終的にどのくらいの税金の回収が出来るか?)という視点が重要になるのでしょう。
『利益じゃないのか?』と聞かれることもあるのですが、1企業(事業者)単位でみた場合は「利益」が重要ではありますが、利益は売上-経費(=他社の売上)であるため、どうしても投資した補助金の経済効果が見えにくくなってしまうんですよね。
例:補助金100に対して、売上1,000、経費980、利益20だった場合、売上を基準として判断する場合は「100の投資に対して1,000の経済効果が生まれた」となるが、利益を基準としてしまうと「100の投資に対して20の経済効果しか生まれなかった」となってしまう。
経費980も他社の売上であり、その下流も含めると1,000の経済効果が生まれているにも関わらず、利益を基準としてしまうと正確な投資対効果が計測できない。
そのため、新分野事業での申請を検討されている方は、売上高を確保できる計画作成を意識してみて下さい。
また、実現可能性の高い事業計画の立案は中小企業診断士へ依頼するのがお勧めです。専門家派遣制度の活用による計画立案も可能ですので、身近な商工会や商工会議所、ISICOや取引金融機関へ相談してみて下さい。
『いずれの相談先も身近でない』という場合は、私にご相談いただいても大丈夫です。
新分野事業の申請にあたっての注意点
今回は、なりわい再建支援補助金の新分野事業の申請について、お伝えしました。
最後に1点、新分野事業特有の注意点があります。
それは、『新分野に進出する場合は既存事業の復旧を諦める必要がある』ということです。
分かりやすく言うと、新分野事業は旧事業の復旧を諦める必要があるため、例えば『飲食店舗が全壊になったため、その復旧(建替え)に替わって、新分野でキッチンカー事業を始める』という場合には、キッチンカー事業の経費は対象になる可能性があるものの、飲食店の復旧(修繕・建替等)は行うことが出来ない、ということになるのです。
少し納得できないのですが、『元の建物を復旧する=事業の回復の可能性がある』ということであり、『それなら新分野への進出は不要でしょ?』という理屈らしいです。
最終的に被災した物件を外部に売ってしまうのは認められる(さらに言えば買い取った第三者が復旧するのもOK)という話ですが、自身で復旧してはダメとのことで‥。個人的には変なルールだなと感じています。
とはいえ、そういうルールということですので、新分野事業による復旧を検討される場合は、ご注意下さい。

