企業としての情報発信を始めるにあたり、SNS担当者(公式中の人)や記事作成の担当者を選ぶ必要があります。しかし、どのような人材を選んだら良いか分かりませんよね。
今回は、企業にてSNS公式アカウントを開設&担当し、公式中の人として活動した経験や、後任者を育成した経験、ライター活動の経験を元に、記事作成やSNS担当者に向いてる人材や必要な必須・推奨スキルについて書いてみます。
記事作成やSNS担当者に《必須》のスキルとは?
まずは、担当者として《必須》だと感じるスキルから。担当者として任せるなら以下のスキルは押さえておきたいものです。
【必須】スマートフォンやPCの操作に慣れている人
まずは大前提として、スマートフォンやPCの操作に慣れていることが必要です。
どの程度を「慣れている」とするかは、スマートフォンなら「写真を撮って→必要に応じてモザイクが掛けられる」程度で、PCなら「ブラインドタッチが出来て、PowerPointにて図の入った資料を作れる」程度。
このくらいのスキルがあれば、『企業におけるSEO対策、記事作成の手順と進め方』で紹介している”作業”は十分対応できます。
【必須】敬語を状況・相手に応じて適切に使用できる
こちらは、ビジネス活動をする上では当たり前のことですね。
ですが、新卒などの入社して間もない従業員では適切に使えないことも多いですし、様々な方とメール・電話でやり取りをしてきて感じますが、敬語を適切に使用できる能力には適性があります。(苦手な人は本当にできません)
情報発信は企業・事業者の「顔」となる活動になりますので、トラブルを避けるためにも最低限のビジネスマナーを守れる方を選びましょう。
【必須】挨拶が出来ること
こちらも上記の敬語と同様です。できない人は本当にできませんが、訪問時・来訪時にちゃんと挨拶できる方を選びます。
【必須】守秘義務を遵守する意識・情報リテラシーがあること
守秘義務とは『職務上の活動において知りえた秘密の情報を外部に漏らさない義務』のこと。
『企業におけるSEO対策、記事作成の手順と進め方』で紹介している作業に「自社における強み・競合との差別化要因の抽出」や「顧客ニーズの抽出」がありますが、これらを整理するにあたって、”自社の企業秘密” や “顧客が秘密にしたい機密情報” などを取り扱う可能性があります。
公開前に担当者の上司が確認するなどの「チェック体制」を構築することで、機密情報の漏洩はある程度防ぐことは可能になりますが、その前段階の担当者レベルにおいて『これは社内外に公開しても良い情報か?悪い情報か?』を意識できる程度の情報リテラシーがある方を選びたいです。
適任がいなければ、担当者候補には「事前に情報セキュリティの研修を受けさせる」などの対策をすべきです。
【必須】著作権や商標権に対する理解がある
こちらは上記の守秘義務と合わせて重要な要素です。
昨今、地方自治体や中小~中堅企業において、他人の作成したデザインや画像の無断使用、文章の無断転載等による著作権の侵害、商標権の侵害が増えています。
使用した理由として『ネットにアップされていたから無償で使用しても良いと思った』や『無償で使用できるとあったが商用使用はNGだと知らなかった』などがありますが、著作権侵害による企業の罰則はかなり重め(法人による侵害の場合は3億円以下の罰金)で、情報管理についての信用も失いますので、担当者レベルでも注意が必要です。
写真や画像、イラスト、資料などを使用するのであれば、基本は作る。外部から持ってくるなら「著作権の取り扱い」と「商用での使用が可能か?」を確認しましょう。
ちなみに、著作物として保護されるものは『他人や企業等が創作した文芸・学術・美術・音楽など全て』です。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
引用元:著作権法第2条1項
また、商標権としては「ロゴのデザイン」や「ロゴ、イベントなどの文字(名称)」だけでなく、「ジングルやサウンドロゴなどの音楽」も保護対象となっています。
イベントを企画し、CMも作成して大々的に告知したものの、開催直前になって商標権侵害によって開催が不可となった例もありますので、著作権・商標権に対する理解は守秘義務と並んで重要な要素となります。
記事作成やSNS担当者に《推奨》するスキル
次は、必須ではないものの、担当者になるなら《推奨》したいスキルについて。これらの要素があると、効率よく、精度の高い情報発信を実現できます。
論理的思考ができる
『記事作成の手順と進め方』で紹介していますが、文章記事の作成や、SNS投稿の作成にあたっては、記事毎・投稿事に全体の構成を考える必要があります。
読者にとって読みやすく、分かりやすい記事を作るには「その始まりから終わりにかけて一貫性のある構成」が求められるため、終わりから始まりに逆算して考えられる『論理的思考力』がある人が向いています。
思考力はトレーニングによって鍛えられますが、慣れていないと意外と難しいため、効率性を求めるなら最初から思考力が高い人に任せましょう。
社内・社外について網羅的な知識と理解がある
情報発信業務は、多くの場合「総務部門」や社長直属の「社長室」の方が担当します。
その理由は、組織の特性上、社内の強みや特徴、組織ごとの役割、その背景など全社的な情報を網羅的に知りうるためですが、記事作成やSNS投稿に関しては、自社内に詳しいことはもちろん、社外の取引先や、業界全体の状況、業界間の関係性、市場からの評価などについても知識・理解があると、情報の精度が高まります。
そのため、営業部門を経験した上で総務部門に異動した人などが向いています。
社内で部門を横断してコミュニケーションが取れる
全社的な情報を網羅的に収集し、取り扱うためには、全部門を横断的に回れる人が向いています。
情報収集については組織内で『情報が集まる仕組みを構築する』ことでも対応できますが、どうしても間に人を通すため、直接ヒヤリングによる一次データには敵いません。
企業公式としての記事や投稿の作成にあたっては「情報の正確さ」が特に求められますので、必要に応じて部門横断的に(時には客先から直接)一次情報を確認できる能力は重宝しますので、人選の際は意識して見て下さい。
これが出来たら強い!《差別化》につながるスキル
最後に「これが出来ると強いよね!」というスキルを紹介します。
SEO対策の記事作成を始めた段階では優先順位は高くありませんが、このスキルがあると、より高品質で魅力的な情報発信が可能となります。
写真撮影、画像作成・編集(Photoshop、illustrator、GIMP、画像編集アプリなど)
綺麗な写真や、魅力的なデザインは、それだけで人の目を引き付けます。
記事のトップや投稿で使われる”人の目を引き付ける画像”を「アイキャッチ画像」と言いますが、これを設けることでクリック率(記事の開封率)の向上や理解度の向上、期待値の向上を図ることが可能となります。
画像編集ツールの操作は誰でも覚えられるものですが、撮影やデザインは生まれ持ってのセンスが絡むこともありますので、もしスキルを持っている方が社内にいる場合は、画像の作成などを依頼することも検討してみましょう。
社長や関係者の想いを「ちょうどよく言語化」できる人
企業のことを一番理解しているのは、間違いなく企業の代表者である「社長」です。
そのため、企業の強みや理念、想いを整理して伝えるのに最も適しているのは、社長となります。
しかし、社長の仕事は会社を経営し、事業を継続させること。「SEO対策のために情報を整理して~」などとやっている暇はありません。(あえてやってる方もいますが)
だから情報発信の担当者や部署を設けて任せるわけですが、社長をはじめとする関係者の想いを「正確に言語化する」のは、思ったよりも大変です。なぜなら、社長と担当者は別人だから。
他人の想いを、自分(担当者)というフィルターを通して、記事にする。
そのスキルは「言語化力」と呼ばれ、身に付けるまである程度の時間がかかります。
人はどうしても自身の言葉で語りたくなってしまうものですが、それでは企業の想い・社長の想いから外れてしまう。一方で、客観的過ぎる文章では心揺さぶる記事にはなりません。
企業や社長の想いを正しく表現する客観性を保ちつつ、記事を読む者の心を刺激する情緒性も内包する。そんな矛盾するような、ちょうど良い塩梅に言語化できる能力は、企業のファンを増やし、未来を切り開く力となります。
育成には時間がかかりますが、『お!この人の文章は面白い』と思うような従業員がいれば、担当者の候補として検討してみて下さい。
まとめ
今回の記事では、記事作成やSNS担当者に向いてる人材や必要な必須・推奨スキルについて紹介しました。
《必須》のスキルとしては、
・スマートフォンやPCの操作に慣れている人
・敬語を状況・相手に応じて適切に使用できる
・挨拶が出来ること
・守秘義務を遵守する意識・情報リテラシーがあること
・著作権や商標権に対する理解がある
など、社会人としては一般常識的な内容です。
そして《推奨》するスキルとしては
・論理的思考ができること
・社内・社外について網羅的な知識と理解があること
が挙げられ、
最後に《差別化》につながるスキルとしては、
・写真撮影、画像作成・編集スキル
・社長や関係者の想いをバランスよく言語化できること
を紹介しました。
《推奨》や《差別化》のスキルについては育成や外部委託などでも解消することができるため、担当者選びにあたっては《必須》の項目を優先してみて下さい。